コラム vol.02「"棺おけ君"のことをご存知ですか?」


福岡大学法学部同窓生によるリレー式コラム。
第2回目は、小林孝行さんです。
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『棺おけ君』のことをご存知ですか
人は皆、『棺おけ』を背負って生まれて来る? 本当ですよ!
先日、81歳のご高齢の方とゴルフをする機会がありました。
プレイ中に、「あなたは何か目標をお持ちですか」、と問われました。私は、「殆ど遣り残したことはありませんし、特に目標は無いです。あまりこの世に未練は無いですね」、と答えました。
するとその方は、「人生遣り残したことは無いと思っていても、ある時がくればあれもしたかった、これもしたかったと思う時が、必ず来ますよ」。
さらに続けて、「本当にお迎えが来る時は、「棺おけ」が見えるようになります。人は誰でも、生まれた時に「棺おけ」を背負って生まれてきます」。
「やがてその人に生命力が宿り、一人で生きていけるようになったら、その棺おけは背中から下りてどこか遠くへ行ってしまいます」。
「やがてあの世からお迎えが来る頃になると、いつの間にかいなくなっていた「棺おけ」が忽然と現れます。最初は遠くから見ていた「棺おけ」も、生きる気力が薄らいでいる人に死期が近ずくと「棺おけ」が近寄ってきます」。
その時の状態により、近づいてきたり、離れたりしながら、その時を迎えることになるわけです。
「することがなくなった、生きる希望がなくなったと言っても、あなたに棺おけが見えますか。見えなければ、まだまだあの世にはいけない」。
「私にはみえる。ほら直ぐそこに、ニコニコしながらこちらを見ている」。
「私が、前に進めば、一緒にその前をぴょんぴょんはねながら歩いている」。
「その日の体の調子で、良い時はまわりからいなくなり、悪いときは10メートル位離れて見ている」そうです。
「以前は、直ぐそこ、2.3歩先にいた。最近は、旨く付き合うことが出来るようになり、大分離れています。しかも、いつもニコニコしている時が多いですよ」。
「今私は、その状態にあります。いつも棺おけに向かって、まだ早いよ、しかしいつも私が入れるように直ぐ側にいてくれよと、呼びかけています」。
「すると棺おけ君は、ニコニコしながら私の周りを飛び跳ねます。ほれ、今もニコニコしながらそこにいますよ」。
「だから、あの世からお迎えに来るぎりぎりの時まで、今を楽しんでいたい」。
「スコアは良くないがゴルフをしていたい。長年連れ添ってくれた家内と、いつまでも楽しく過ごしていたい。」
その大先輩の話によると、「棺おけが言っていってました、最近は車とか飛行機で移動される人が多く、中々ついていけないので困る。怪我をされた時、側にいてあげないといけないのに、間に合わず苦しみが増すばかりで、成仏が出来ない人が多い」、と。
「救急車で運ばれる時も困りますね。そのスピードについていけず、やっと追いついたと思ったら、我々が近寄れないホースのついた救命装置がついた箱に入っている」との事。
大先輩が語られる話を理解するのは、難しい。
話を聞き終わって、つい直ぐに周りを見渡し、私のそばに『棺おけ君』がいないか見渡してしまった。
生まれた時についてきた『棺おけ君』は、幸いな事にまだ私の周りにはいないようだ。
私に人徳が無いから見えないのか、私があの世に行くのがまだ先のことだから見えないのか、良く解らない。
すべての迷いが消え、プレイに専念出来そうな気分になってきた。
追記 昭和42年に銀行に就職して31年勤務、テレビ局に出向を命じられ9年間、その後リース会社に努めました。1年半ほど年金生活をして年金だけでは厳しいので、現在人材派遣会社に勤めています。
念のため、公務員ではないので天下りではありませんし、自分で仕事先を見つけて働いています。
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次回は、福岡大学法学部同窓会副会長の堀純生さんです。
お楽しみに!